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チャリティーイベント「LIVE EMPOWER CHILDREN 2020」スペシャル対談

moumoon YUKA、保屋松靖人さん

チャリティーイベント「LIVE EMPOWER CHILDREN 2020」スペシャル対談

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2月15日(土)、国際小児がんデーに小児がんの子どもたちを音楽で元気づけるためのチャリティーイベント「LIVE EMPOWER CHILDREN 2020」が初開催されます。多くのアーティストが参加する一大イベントですが、moumoonも参加が決定。moumoonのVo./Lyricsを担当するYUKAさんと、合同会社「AVEX & HIROTSU BIO EMPOWER LLC.」代表にして一般社団法人「Empower Children」理事の保屋松靖人さんは、かつて所属アーティストとマネジメントという立場で信頼関係を築いてきた間柄でもあります。そんなお二人に、イベント開催までの経緯や意気込み、そして今回このイベントで初披露されることが決まったスペシャルな楽曲『にじ』について語っていただきました。

「特別なご縁が重なっての出演で、より強い想いがあります」(YUKA)

YUKA ずっとお世話になってきましたが、保屋松さんが取材を受ける姿を見るのは初めてです(笑)。
 
保屋松 自分は裏方の立場なのであまり表に出るのは苦手なのですが。(苦笑)。やはり活動を知ってもらうという意味では、自分からも発信しなくてはならないと思っています。この「LIVE EMPOWER CHILDREN 2020」(以下LEC)では、なるべく自分でアーティストの皆さんに直接お会いして、自身の言葉で想いを伝えていて、この活動に心から賛同してくれたアーティストの方々にご参加いただいています。
 

YUKA 私も保屋松さんから「小児がんの子どもたちを勇気づけるイベントを開催したい」ということや「若い子たちにもがん検査を受けさせてあげたい」というお話を伺って、とても心が動きました。頑張っている子どもたちやそれを支えるご家族、お友だちに少しでもエールを送りたいと思うので、お声がけいただき、うれしい気持ちでいっぱいです。
 
保屋松 もともとのきっかけは、6年前に私の長男が小児がんを発症したことで、当時、同じような境遇の子どもたちが病院にたくさんいるのを見て、自分が携わっているエンターテイメントを通じて何かサポートできる仕組みが作れないか模索していました。そんな折、息子と同じ病院にあるアーティストのファンの女の子がいて、私からそのアーティストに頼んでその子宛てに色紙をもらったことがありました。“早く退院してコンサートを見に来てね”という内容が書かれていたのですが、それ以来、抗がん剤がきつくて毎日泣いていたような子が積極的に治療を受けるようになったそうで、後日その子のお母さんからお礼の手紙をいただきました。たった1枚のサイン色紙が辛い治療へ前向きな気持ちにさせてくれる。そこにエンターテインメントの本当の存在意義や価値があるんじゃないか。それを形にするためにチャリティーコンサートを開催したいと思いました。
 
YUKA 確かに、好きなアーティストのライブを観たり生の歌を聞けるのは本当にパワーになりますよね。私自身10代の頃に行ったライブは忘れられませんし、今も「自分も音楽を頑張ろう」と思えるきっかけになったりします。お客さんが共感して放つエネルギーに励まされるというのもありますよね。
 

保屋松 そうですね。小児がんって一度かかるとかなり長期の入院・通院を強いられるので、治療費の問題もありますが、何より本人たちの精神的負担がすごく大きい。だから音楽の力で勇気づけたいと思いました。音楽には多くの方に一瞬で伝わる力がありますので、世界的に小児がんを啓発する「国際小児がんデー」に開催することに意味があると思っていますし、私が別のプロジェクトで取り組んでいます、線虫による早期がん検査「N-NOSE」もちょうど2020年1月に実用化されたばかりなので(https://avexnet.jp/column/detail.php?id=1000237)、この年を皮切りに5年、10年と続けられるイベントにしたいと思っています。
 
YUKA 私としては特別なご縁が重なって出演が決まったので「元気づけたい」という意味で、いつも以上にそこに向ける想いは強いです。
 
保屋松 ご縁と言えば、息子が病気を患っていた時にmoumoonに携わらせてもらっていたこともあり、息子の病院を往復するときにmoumoonの曲を聴いていて、「トモシビ」という曲に私自身が救われたという実体験もあるので、そんな想いもあってお声がけしたんです。
1人のユーザーとしてもmoumoonの作る音楽に励まされてきましたからとても感謝しています。
 
YUKA 息子さんのがんについては伺っていましたが、当時はそんな風に自分たちの曲を聴いてくれているとは知らなくて。リリースして少し経ってからそのことを教えていただき「少しでも背中を押すことができていたんだ」「音楽を届けることができていたんだ」って。何より息子さんが今とても元気に過ごされていてよかったし、それからご本人からも「「トモシビ」という曲が勇気をくれたんです」と言っていただけて、「ああ、この曲を作ってよかったな」と。
 
保屋松 当時、本当に色々な方が支えてくれて、励ましてくれて、今があると思っていますので、息子にもどこか頭の隅にでもいいから、そういう多くの方の支えがあって今があるんだということを忘れないで欲しいということは伝えています。

「旭くんの作品をひとりでも多くの方に知ってほしい」(保屋松)

YUKA よくファンレターを読ませていただくと「人生の大きなターニングポイントがあって落ち込んだ時期があったけど、この楽曲を聴くことで立ち上がれました」というようなお話が意外に多くて。そういう心のこもったお手紙をいただくたび、逆に私も力をいただいているというか……。たとえば気持ちに浮き沈みがあるときにお手紙を通して「間違っていなかったんだな」とか「このまま音楽を作り続けていいのかな」と後押ししてもらえます。病気に限らず、悲しい出来事があってもやっぱり最後は元気に歩き出してほしいというのが常にmoumoonの曲のメッセージとしてあるので、希望が見える音楽を届けられたらいいなと思っています。
 
保屋松 そういうmoumoonの音楽や歌詞の世界観があって、今回『にじ』という特別な楽曲が披露されることになりました。LECにご協力いただいている団体のひとつでもある一般社団法人「旭くん光のプロジェクト」が主催した昨年10月のコンサートにお誘いして、まずは加藤旭くんの音楽を聴いてもらうところからスタートしたのですが……
 
YUKA そのコンサートが本当に素晴らしくて。自分の中で思っていた“音楽ってこういうもの”という考え方をいい意味で大きく変えてくれたと言うか、ステージ上の演奏者の皆さんが旭くんのことを強く想っていて、ときどき笑ったりしながら大切に演奏している……そんな様子も含めて、とてもあったかい音楽がそこにありました。私は旭くんに会ったことがないのに、まるで会場に彼がいるかのように感じて、涙が止まらなくて。音楽に対して前向きな気持ちになれました。
 

保屋松 その旭くんという子は、13歳で脳腫瘍を発症して手術、放射線治療、車いす生活、そして失明・・・。16歳という若さで亡くなってしまいましたが、音楽が好きで、4歳の頃からピアノで500曲以上を作曲していて、生前「自分が死んだ後も、遺した作品を通じて同じような病気で苦しむ子どもたちの光や支えになれれば」と想いを託していたそうです。それをお母さんや、当時の同級生たちで紡いでいるのが「旭くん光のプロジェクト」で、アルバムの自主制作や演奏会、コンサートを通じて旭くんの作品を世の中に広める活動をされています。
旭くんは私の息子と2歳違いなもので他人事とは思えなかったですし、彼の作品をひとりでも多くの方に知ってもらう機会を作りたくて、LECの構想の中で彼の曲にスポットを当てられないか考えていました。もちろん何か無理のない方法でmoumoonとコラボができたらそれほど素敵なことはありませんが、感じ取るものがあった上でというか、そこにアーティストの想いがないと難しいと思ったので、とりあえずコンサートにお誘いしてみたところ「自分に何かできるなら」と言ってもらえて。

YUKA はい。コンサートでは「空を見上げて」というアレンジ作品に惹かれたのですが、CDを聴き直したとき5秒~15秒くらいの『にじ』という短い曲があって、「あっ! これはコンサートでも出てきた、私が一番好きなフレーズだ」と気づいて何度も聴きました。『にじ』は5つの音符でできているのですが、虹を指先でなぞっているようなイメージが鮮明に伝わってきて、こんなにも美しい景色を、こんなに少ない音数でできるなんて、と。それで『にじ』をモチーフにmoumoonとして1曲作らせてくださいとお願いしました。
 
保屋松 その後、デモを初めて聴かせてもらっとき、私はボロ泣きしてしまったのですが、旭くんのお母さんにもすぐに聴いてもらい「なぜこの曲を選んだのか理解できました。虹が目の前にかかるのが見えました」と感動してくれました。『にじ』はもともとワンフレーズですから、それを5分程度の曲に仕上げるにはmoumoonのアレンジがかなり加わることになるので、旭くんの世界観を尊重するという点で本人たちはちょっと遠慮していたと思うんですね。でもお母さんの方から「moumoonの世界観をまずは大事にしてください。旭もきっと喜んでいると思うので」と言ってもらえた。
 

YUKA そうですね……、旭くんのお母様はもちろん、ご家族やお友だちの皆さんの気持ちも大切にしたくて。彼のイメージに合う楽曲を作るために、メロディも歌詞も、CDやコンサートで聴いたときに自分が旭くんの曲から受けた感覚からなるべく外れないようにしていて、相方のMASAKIくんとも楽曲を聴き込んで「旭くんだったらこっちかな?」と、ひとつひとつディスカッションしながら作っています。

「近所のカフェやごはん屋さんのように、音楽を届けられる場所を」(YUKA)

保屋松 旭くんの世界観というのが……本当に素晴らしくて。伺ったコンサートでも終始泣きっぱなしだったんです。というのも元気なときに書かれた曲もたくさんあるのですが、おそらく闘病中に作った曲もいっぱいあって。その曲を聞いていると息子が抗がん剤で辛そうにしている姿と重なってしまって。治療がきついときに作った作品は音色もちょっと暗いんです。でも望みを捨てずに一生懸命生きようとする想いが必ず音楽のなかに表現されていました。そんな旭くんの想いが、moumoonの世界観を通じて素晴らしい作品として仕上がっていくと思いますので、ひとりでも多くの人に聴いてもらいたいですね。
 
YUKA ええ、本当に素晴らしい作曲家なのでたくさんの方に知ってほしいですし、彼の曲には「大丈夫だよ」とか「頑張ってね」とか、包み込む優しさがあります。きっとポジティブで優しい子だろうなって想像を膨らませたり、曲を作っているうちに“すごい才能を持った友だち”みたいに思えてきて(笑)、「どう?」って聴いてもらって「うん、いい感じだね」と言ってもらえるように、精一杯いい形で伝えたい。旭くんと作品を通じて出会えたことに感謝しているし、一緒に音楽を共有できることは今の私にとってはとても大きな出来事なんです。

保屋松 昨年の旭くんのコンサートでは同じ年代のお友だちが演奏していて、LECにも参加の意向があります。
 
YUKA そうですね、『にじ』を、moumoonだけじゃなく同級生の皆さんと一緒に演奏する事に、すごく意味があると思います。彼らが想いを音に乗せて紡ぎ、それを伝える活動を続けていることに感銘を受けたので。参加してもらえたらうれしいですね。なのでお友だちがやりやすい形で参加できるようにアレンジを考えています。
 

保屋松 彼ら=演奏者側に旭くんへの想いがあるからこそお客さんにも伝播していくのが感じ取れましたよね。それはmoumoonのライブも同じで、メンバーが常にそこにいるお客さんを想っていて、演奏からも楽曲からもその想いがお客さんに伝わっていく。その空気感をふたりが大事にして、自分たちに持ち帰ってまたそれを作品に反映させるということをずっとやっていて「すごいなあ」と思って見ていました。

YUKA ライブに関しては、そうですね……、“そこにあってくれるもの”──例えば近所のカフェやお弁当屋さんなど、そのお店に灯りが点っていると「今日もあの人たち、いるんだ」と安心できる場所ってあるじゃないですか。私にとっては月の明かりもそうで。「色々あるけれど、今日も月は明るいな」って思えるような音楽。そんな風に、”いつも、そばにある存在”として活動していきたいので、なるべく定期的に音楽を聴ける場所というか、息抜きできる場所を提供していきたいという想いはいつもありますね。

保屋松 ところで、今回のチャリティーコンサートでは初の試みとして、治療中の子供たちにもコンサートを通じて元気づけたいという想いから、国立成育医療研究センターという小児がんの拠点病院でパブリックビューイングを実施することになりました。小児病棟に30人ほど座って観られる環境を用意するのと、ベッドから起きられない子供達にはタブレットを用意してヘッドフォンで聴けるようにします。いろいろな制約もあって今年は1ヶ所のみですが、うまくいけば来年は2ヶ所、次は3ヶ所、最終的には全国というような仕組みを作っていけたらと思っています。
 

YUKA やっぱり好きなアーティストや音楽を奏でる人を見たらそれだけで元気になりますよね。パブリックビューイングという形でより多くの方たちに届くよう心をこめて演奏して、気持ちのいい空間にしたいと思います。

保屋松 それから今回のコンサートですが、収益については小児がんで苦しむ子供達とそのご家族を支援するための基金に回したいと思っていまして、足を運んでいただくことが基金にもつながりますし、小児がんを知らない方にもこのコンサートを通じて感じ取ったことをSNSや友人・ご家族に伝えていただくことでこの活動が広がっていってもらえたらと思っていますので、ぜひ足を運んで頂きたいと思います。1回だけで伝わる活動ではないと思っていますので、5年10年と長い時間をかけて多くの方に知っていただけるよう取り組んでいきたいと思います。
 
 

 撮影 長谷英史


小児がん治療支援チャリティーイベント
https://empower-children.jp/lec/
 
日時:2020年2月15日(土)
開場 17:00 / 開演 18:00
会場:東京国際フォーラム(ホールA)
■チケット料金
全席指定:7,500円(税込)
 
■出演者
Every Little Thing、倖田來未、moumoon、ピコ太郎、Da-iCE、木山裕策、サンプラザ中野くん、新羅慎二(若旦那)、尾崎裕哉、DEEP SQUAD / MC:天野ひろゆき(キャイ~ン)、増山さやか(ニッポン放送アナウンサー)
 
公演に関するお問い合わせ
ソーゴー東京:TEL 03-3405-9999


 
【moumoon OFFICIAL SITE】
https://www.moumoon.com/
 
【旭くん光のプロジェクト】
https://hikarino-project.com/
 
【一般社団法人 Empower Children(エンパワー・チルドレン)】
https://empower-children.jp/