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チャリティーイベント「LIVE EMPOWER CHILDREN 2022」スペシャル対談

SAM(TRF)、保屋松靖人氏

チャリティーイベント「LIVE EMPOWER CHILDREN 2022」スペシャル対談

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このコラムコーナーでも開催のたびにご紹介している、小児がん治療支援チャリティーライブ「LIVE EMPOWER CHILDREN」が、今年も2月15日に開催されます。昨年に続いて無料オンライン配信での開催で、12組のアーティストが参加。今回は昨年に続き参加されているTRFのSAMさんと、一般社団法人Empower Children代表理事の保屋松靖人氏のお2人に、イベントへの思いについて語っていただきました。また、TRFが来年デビュー30周年を迎えるということで、SAMさんとも付き合いが長く、TRFの担当マネージャーを過去に務めていた保屋松さんからの視点で振り返っていただいています。

20年以上にわたる関係にはどのような変化が?
 
 
──まずそもそもなんですが、お二人は何年来のお付き合いということになるんでしょうか?
 
保屋松 1998年にTRFの担当マネージャーとしてご一緒させていただいてからの付き合いになるので、かれこれ24年ですね。
 
──来年でもう25年ということですね。
 
SAM うわ! すごいな!
 
保屋松 そうですね、もう四半世紀はご一緒させていただいています。
 
──担当マネージャーという形ではいつまで?
 
保屋松 そういう意味で言えば、今の社内ベンチャーの会社を作る前ですから、4~5年ぐらい前の2017年頃まではマネジメントとして携わらせて頂いていたと思います。
 
SAM だいたい20年だよね。
 
──最初の頃の保屋松さんの印象はいかがでしたか?

SAM 体張って仕事をするタイプですよね。理屈とかじゃなくて、自分が先に動くっていうタイプの。だから説得力があるんですよ。何もせずに口頭でっていうのじゃなくて、常にまず行動するという人なので、そういう意味で信頼もしてるし、ちゃんとやってくれるっていう信頼感が一番大きかったです。
 
──逆に保屋松さんから見たSAMさんは……
 
保屋松 当然ですが、年齢的にもキャリア的にも大先輩でしたし、入社当時、この業界のことは右も左も全くわからない状態で飛びこんでしまったので、よく言わせてもらうのですが。TRFのメンバーの皆さんに半分育ててもらったみたいな思いがありまして。
業界のイロハも含めて、習うより慣れろじゃないですけど、現場でとにかくがむしゃらにやっていく中でいろいろと鍛えていただいたという思いがすごくありますね。
 
──数年前に、アーティストと担当マネージャーという関係からはちょっと変わりましたよね。そのお話のときはどう思われましたか?
 

SAM かたち的には担当を外れたけど、気持ちはつながってるので、今でも困ったことがあると相談するんですよ。僕はホヤマって呼んでるんですけど、まずホヤマに「こういうことが起きてんだけど」って連絡するみたいな。そうすると、今だに現場にきてくれるっていう。だからマネジャーです、まだ(笑)。
 
保屋松 私も今はマネジメントから外れている身ではあるのですが、気持ち的にはマネジメントに携わっていた時と同じような感覚でいるところが大きくて、メンバーに新しいことに取り組むという話をした際にも、立場は変わっても気持ち的には今までと関係値も含めて変わらないつもりでいますので、何かあればいつでも言ってください、という話もさせてもらいました。
 
SAM 大きい括りで「ファミリー」という感覚で見ているというか、当たり前にそう思っちゃってるので、現実的に変わったことは、大きい仕事の時に差し入れの千疋屋がなくなったことぐらいですね。
 
──そこの引き継ぎはなかったんですか。
 
SAM そうですね、ちょっとうまくいってないですね(笑)。
 
保屋松 すみません(笑)。
 
──保屋松さんががん治療支援の事業を始められるきっかけになったのは、お子さんが小児がんにかかられたことだったと思うんですが、そのことをお聞きになった時は……。
 
SAM 息子さんのことは生まれた時からよく知っていたし、一緒にディズニーランドとかも行ったりしていたので、自分のことのようにびっくりして、生きた心地がしなかったですね。奇跡的に、いい方向に全てが動いていって、今は元気なんですよね?
 
保屋松 そうですね、お陰様で。でも当時も、仕事に私情……じゃないですけど、みんなに余計な心配をさせたくないという思いもあったので、言うか言うまいかということで当時はけっこう悩んでたんですが、でもメンバーにはやっぱり伝えておこうとなった時に、いの一番で、SAMさん含めメンバーの皆さんから「自分たちも一緒に戦うから、とにかく頑張ろう」みたいなことを言っていただいて、その言葉にすごく救われたって思いがあって、そこがすごく大きかったですね。
 
SAM CHIHARUとETSUもすごく親身になって。
 
保屋松 そうですね。本当に親身になって心配してくれて、それが当時、すごく心の支えになったという思いもありました。
 
──先ほどの「ファミリー」という言葉からすると、その中の一大事ですよね。そういうことがあったので、「N-NOSE®」や「LIVE EMPOWER CHILDREN」などの活動に対しても、もう一も二もなく。
 
SAM いやもう、当然ですよ。1人でもやります。すごく意味のある活動だと思ってるし、「HIROTSU バイオサイエンス」の活動自体がすごく画期的なことですよね。やっぱり今までがんの検査って、すごく面倒くさいことしなきゃいけなかったのが手軽にできるようになって、まず体の中にがんがあるかどうかが分かってからの検査っていうのは、ものすごく手軽になってると思うんですよね。だから、これが早く世の中に広まってほしいなっていう、その願いが一番強いですね。
 

「LIVE EMPOWER CHILDREN」のステージに臨む思いとは……
 
 
──「LIVE EMPOWER CHILDREN」ではイベントにも参加されていますよね。そういう中ではどのように思われていますか?
 
SAM やっぱりこういう音楽やエンターテインメントを通して広がっていくというのが僕らの役目だと思うので、そういう活動の中で、ホヤマがやってる活動が世の中に広まっていけばいいと思っています。あとは、まめにSNSとかで発信していくっていうことですね。

保屋松 私にとっても、「LIVE EMPOWER CHILDREN」などの活動をいろいろ進めていく上で、やはりTRFの存在はすごく大きくて。この業界でエンターテインメントの存在意義を最初に感じさせてもらえた場もTRFの現場だったんです。私が一番最初に担当させて頂いた全国ツアーというのが、98年の「Unite! The Night!」というツアーで、当時17ヶ所21公演のライブツアーだったんです。たまたまその仙台公演の時に、娘さんがTRFのファンというお父さんが来られていて。娘さんから「TRFのコンサートを見ると元気をもらえるから、お父さんも行こうよ」と言われて、一緒に見たライブはお父さんにとっては初めてだったらしいんですね。そのお父さんから当時、ファンレターと一緒に手紙をもらったんですが、そのお父さんは自分の会社を潰してしまって、もう人生を諦めかけていた時に、娘からそう言われてライブに行ったと。そこでメンバーのパフォーマンスと娘の喜ぶ顔を見て、もう1回、生きる力と勇気をもらえたっていうことが書かれていた、お礼の手紙だったんですね。
 
──なるほど。
 
保屋松 その時に、私はマネージャーとして裏方で支えるという立場だったんですけど、やっぱりアーティストの皆さんが表に立って、そうやって多くの人にそういう気持ちを与えてあげられてるということに、初めてやり甲斐と誇りを感じた瞬間でもあって。これが本当にエンターテインメントの存在価値であり、意義なんだなというのは、すごく感じた部分でもあったんです。そういった思いもあって、ここにたどり着いた部分もすごくあるので。
 
──音楽とかパフォーマンスって、最初から誰かに力を与えるためにと言って始めてるわけではないとは思うんですが、結果的にそういう力がありますよね。
 
SAM そうなんですよね。最初は好きでやってたことで、どちらかというと、自分たちのパフォーマンスを見てもらいたいとか、自分たちが何者かである証明みたいなことを求めて始めるんですけど、そこには最終的に人を救う力があったりとか、人に元気を与える力があるっていう、そこはやっていくうちに気づくんですけどね。「そうなのかな」って気づき始めて、そこがどんどん大きくなってくると、こういう活動にも力が入ってくるという感じですよね。
 
──特に「LIVE EMPOWER CHILDREN」のステージの時に何か思うことはありますか?
 
SAM この「LIVE EMPOWER CHILDREN」もそうですし、SDD、飲酒運転撲滅運動とか、広める目標があるライブっていうのは気持ちがしっかり入っていくし、こういう前後の取材なども通じてしっかり発信していけるので、同じライブをしてはいるんですけど、やっぱり「しっかり届けよう」という気持ちは入ってます。僕は幸いなことに親族ががんにかかったりというのもなくて、一番身近だったのがホヤマの息子さんで。だからホヤマの喜ぶ顔が見たいという感じです。だいたいライブ終わると泣いてるんで。しかも号泣なんですよ(笑)。
 
──そうなんですか! こういう取材の場からは想像がつかないんですが。
 
保屋松 そうですね、毎回ちゃんとしなきゃと思いながら、なかなか……(笑)。
 
──さて、「LIVE EMPOWER CHILDREN」のイベントも今年で3回目になりますが、今回はどういった特徴がありますか?
 

保屋松 昨年ぐらいから、コロナ禍の中でお客様を入れて開催するということが、難しくなってきた状況があります。その中でどういう風に届けていくかということをスタッフとともに試行錯誤していてですね、特に小児がんのお子さんは治療の影響で免疫力が落ちているので、コロナ禍で外出もままならないと。しかも両親との面会もなかなかできないという状況が続いてるというのを聞いていたので、何とか病室とかベッドで横になった状態でも音楽を通じて勇気づけたり元気づけたりすることが出来ないかと考えた時に、やはりオンラインによる無料視聴という形で全国に届けられるのがいいんじゃないかということで、昨年からは無観客による無料配信という形式を取ったんですが、今年もそれを踏襲する形で開催することができたというのがまず一つですね。
 
また、昨年の取り組みとしてとても大きかったのが、このイベントの趣旨に賛同頂いた、坂本龍一さんに楽曲提供を、つんく♂さんに作詞提供をしていただいて、「My Hero~奇跡の唄~」というテーマソングが完成したことです。この作品を通じてより多くの方々に小児がんのことを知って頂くことが出来ましたし、ライヴに関しても回を重ねるごとに本当に全国の病院で小児がん治療と戦っているお子さんやそのご家族の方から、「このライブを楽しみにしている」とか「このライブを通じて本当に頑張ろうと思いました」というお便りとかメッセージをたくさんいただくようになって、やはり継続は力なり、ではないですけども続けていくことが大事なんだなということを、改めて感じました。
 
──「My Hero~奇跡の唄~」は活動をつなぐテーマソングとして、役割が大きいですね。
 
保屋松 はい。あと今年はさらなる支援活動の輪を広げていきたいという思いがあり、ヤフオク!さんのご協力をいただいて、2月15日のライブ当日から1週間、チャリティーオークションを開催することが決定しています。こちらは演出家の宮本亞門さん、サッカーの槙野智章選手を始め、各界の著名人、総勢30組の方々に参加いただけることになっていて、その際の売上も、小児がん治療支援に寄付するという形を今回取ることができました。そういう意味では、回を重ねるごとに支援の輪が徐々にですけど広がってきていると実感しています。

『パワー・オブ・エンパワーメント チャリティーオークション』 
https://auctions.yahoo.co.jp/recommend/topics/20220209/0000/
 
──今年も配信のみでの開催ということですね。
 
保屋松 はい。オミクロン株がここまで広がらなければ、一部お客さんも入れて開催を出来たら良いなという思いはあったんですけが、やはり昨今の状況を鑑みて、今年も無観客にしようということになりました。さらに今年は配信プラットフォームにABEMAさんとdTVさんという2つの配信先も増えて、全部で5つのプラットフォームで見れるようになりました。ですのでより多くの方に見ていただけるようにはなったのではないかと思います。
 
SAM 配信は多くの人に見てもらえるという意味では、すごくいいと思いますね。生だと人数が限られちゃいますが、配信だとより不特定多数の人が見てくれる可能性は広がりますよね。僕らにしても、生だろうが配信だろうが届けようという気持ちは変わらないですから。ライブをしてる最中も、ちゃんとそういう子どもたちの顔だったりというのはイメージできているので、そこに対してライブしてるという気持ちになってます。

還暦を迎えたSAM!その実感と社会貢献活動への意欲
 
 
──今回のイベントに関して、特に新たな思いというのは?
 
SAM 自分たちが今年結成30年で、来年がデビュー30年になるんですよ。そういう節目ということもあるし、ここまで活動できていることに対しての感謝の気持ちというのはすごく大きいので、そこはちょっと上乗せされている部分かもしれないですね。
 
──その30周年という部分ですが、ご自身ではいかがですか?
 
SAM いや、あっという間ですね、本当に。今思えばあっという間なんですが、TRFっていろいろと紆余曲折が多いグループで(笑)。エイベックスの邦楽第1号で、本当に見回したら社員全員の顔が分かるぐらいの頃から一緒にやってきてるんですよ。そこからだんだん会社が大きくなって、マネージャーが増えてアーティストが増えてっていうのをずーっと見てきていて、そういう中で続けてこれたっていうのは、エイベックスに対してもすごく感謝の気持ちがありますし、あとは……ホヤマのおかげですね。
 
保屋松 いや、そんなことはないですけど……(笑)。
 
SAM 一時期、6年間ぐらい活動してない時期があったんですよ。リリースもなくて、個人の活動をするしかなくて。個人ではみんな活動してたんですけど、そういう中でもホヤマが頑張って、またリリースできる形を作ってくれたりして。そういうのが、自分たちにとっては続けてこられた一つの力になってます。

保屋松 色々なアーティストの方々を見て、この業界で10年以上続けていくということがどれだけ大変かというのもわかっていたので、その中でも30年近く活動を続けられるということは本当に素晴らしいことだと思います。TRFのメンバーの方々を見ていて、常々思うことは、長く活動を続けられるにはそれなりの理由がちゃんとあるということです。さっきSAMさんがおっしゃっていた、6年間なかなかライブができなかった時期。ちょうど私が担当していた時期でもあったのですが、その時にすごく感銘を受けたエピソードがありまして。当時、メンバーの皆さんが毎日体を鍛えられているんですけど、本当に1日も休まれないんですよ。その時に私が「たまには休もうと思わないんですか」と質問したら、「いつかライブをやって人前に出た時に、やっぱりそこにお客さんが待っててもらえる以上は、『前よりも今の方がいい』って言ってもらえるようなパフォーマンスを提供できなかったらアーティストとしてダメだと思うから、いつパフォーマンスができるか分からないけど、その日のためにも常に体を維持することが大事なんだ」ということをおっしゃられたんです。ああ、やっぱりすごいなと。それがあったので、私も「もう1回ライブパフォーマンスできる場を絶対に作りたい」というすごく強い思いを持つことが出来て、それで当時ガムシャラになって色々なことを考えて、全国ツアーを開催するような運びになって。ですので本当に、30年続けていくっていうのは、やはりすごいことなんだと思います。
 
──その30周年を、昔の「マネージャーとアーティスト」とはまた違う、今の関係で迎えられるということに関してはいかがですか?
 
保屋松 それも私的には、多少やっていることは変わっても、冒頭で言ったようにマネジメントでいる感覚というのは自分の中であんまり変わっていないんですね。今やっている事業も、「ヘルスケア×エンターテインメント」とか「医療×エンターテインメント」といった領域の中で、新しい社会貢献にも通じるようなソリューションとかサービスを提供できればいいといういう想いで始めていたので。その中でSAMさんやメンバーの皆さんがやってることを、こちらのフィールドにうまく掛け合わせて、社会貢献にもつながるような場を用意できたらいいなという思いもあって、高齢者向けのダンスプログラムの開発を一緒に取り組ませていただいたりというところにも繋がっています。自分のフィールドの中で、引き続きメンバーの皆さんが活動できるような場作りのサポート、お手伝いができたらいいなという思いがあって、一緒に取り組ませていただいてるところもあります。そういう意味ではTRFの30周年に、陰ながらじゃないですけど、自分にできることは何かしら携わらせていただきたいなという思いはあります。
 
SAM 今年も来年も、ホヤマは忙しくなりますね。2つのことをやらなきゃいけないですからね。もう、何から何まで相談しますよ(笑)。
 
──SAMさんは1月に還暦を迎えられたということで、驚いたところなんですが……。
 
SAM 還暦って言ったら、昔のイメージだと「おじいちゃん」ですよね。若い頃の自分が「60の時にはこうなってるんじゃないか」みたいな想像をしていた自分とは全然違っていて、ずっとやってきたことの延長でこうなってるじゃないですか。だから、全然実感はないんですよね。周りからも言われるんですけど、特別なことは何もしてないし、いろんなことをやってきてこうなってるだけなので。ラッキーなことに髪はしっかりあるし、そんなに白髪も多い方じゃないんですよね。でも、これからどっかで急激に老けていくと思うんですよ。あと5年後ぐらいにしぼんでいくと思います(笑)。
 
──いやいや、それもまた想像がつかないんですが(笑)。でもその中で、今は「リバイバルダンス」の活動をされていますよね。昨年、パシフィコ横浜でのイベントでのワークショップはこちらでもレポートさせていただきました。
【楽しく認知症に備える】TRF考案のリバイバルダンスとは!?
https://avexnet.jp/column/detail.php?id=1000472
 
SAM 音楽とかダンス、エンターテインメントに関わってきた中で、最初の頃からは気持ちがどんどん変わっていってるんですよね。自分の気持ちの変化は常に自分で分かってるんですが、やっぱり年を重ねていくと、エンターテインメントの意義だったりとか、自分たちに何ができるかということを深く考えるようになるんですよね。そういう中で、20周年の時に「イージー・ドゥ・ダンササイズ」っていう、TRFで初めてのエクササイズDVDを作ったんですね。
 
──ありましたね。
 
SAM それまで、自分たちがそういうものをやるということは全く考えてなかったんですけど、ちょうど10年前で50歳ちょっと前ぐらいで、何となく自分的には「もう見せるダンスじゃなくて、世の中の人たちが楽しめるようなダンスをやりたい」と、ちょっと思ってたんですね。その時にこれもホヤマから「こういうのをやりませんか」という話をもらって、これはいいチャンスだなと思って。ファンの方々とか世の中に、自分たちがやってこれたことをしっかり感謝として還元できるなと思ったんです。
 
──還暦ですか。
 
SAM ただ、最初はそうは言っても、そんなに反響ないだろうなと思ってて。3万枚でも売れればいいなって言ってたのが、すごく大ヒットして、そこで「世の中の人がそういうものを求めてるんだ」っていうことに気づいたんですよ。そこから高齢者の人のためのプログラムをいつかやってみたいという気持ちが強くなって、「ダレデモダンス」という一般社団法人を立ち上げたんです。高齢者用の健康寿命を延ばすプログラムというのを、自分のいとこの医者とタッグを組んで立ち上げて、そこから認知症に備えることに特化した「リバイバルダンス」というプログラムにつながっていったんです。自分の中でダンスとかエンターテインメントを使って、何か貢献できるものを打ち出していきたい。という気持ちがとても強くなってきています。
 

認知症予防に備えるための「リバイバルダンス」活動の意義とは?
 
 
──「イージー・ドゥ・ダンササイズ」にしても「リバイバルダンス」にしても、そうやって受け入れられた背景には、やっぱりそこまでTRFがダンス文化を根づかせ、定着させたことが土台になってますよね。
 

SAM そうですね。もともと、10代の頃にディスコダンスに出会って、そこからストリートダンスが日本に入ってきて、自分たちがやってるダンスを世の中に広めたいという気持ちでずっと続けてきたんですよね。当時はタップダンスとかジャズダンス、クラシックバレエしかなくて、ブレイクダンスとかっていうのも、やっぱりアウトロー的な見方をされてたんですよ。一時期火がついては消えてっていうのを何度も経験して、「いつか絶対これが定着する」と思って、信じてやってきたものを、TRFを通じて世の中に広めることができたので、そういう意味ではダンス、特に僕の場合はストリートダンスなんですけど、それが大好きっていう気持ちだけで、これまで来てるかなとかなと思いますね。
 
保屋松 そういう意味ではSAMさんは、最初に出会った頃から芯が全然ブレていないと思っています。当時からストリートダンス文化の創造と発展ということを常におっしゃられていたので、そこをずっと愚直にやり続けてこられたのかなと。なので、「イージー・ドゥ・ダンササイズ」も最初は正直……ダイエットという市場に向けて、初めてTRFとして取り組む企画でもあったので、自分としても、メンバーがどう捉えるのかなと思うところが正直あったのですが、でもSAMさんは「目的はダイエットかもしれないけど、これをきっかけに主婦の人たちがストリートダンスの楽しさに触れて広がってくれれば、それはすごくいいことだから、やろうよ!」って言ってくださって。先ほど言った「ストリートダンス文化の創造と発展」というところから、ずっとブレずに来られているので、それもすんなり受け入れてくれたのかなあと思いました。
 
──「リバイバルダンス」は昭和のヒット曲を中心に使われていますよね。例えばデイサービスだとかでよく耳にするのは、今の高齢者の方たちは、もう昭和のヒット曲とかを通過してきてる世代になってきているのに、歌ったり体を動かそうというアクティビティになると、急に童謡になっちゃうと。
 
SAM そうなんです、そこなんですよね。いろんな施設の中で、介護している人たちが苦労しながらいろいろ考えて、ちょっと脳トレ的な体操を作ってみたりとかしてらっしゃるんですけども、やっぱり僕らの場合はエンターテインメントとダンスがあるので、それをいかに飽きずに楽しくできるかということをメインに考えています。いろんなリハビリ施設とかだと、「やらされてる感」が皆さん強いんですよ。体操の時間だからやらなきゃいけない、みたいな。そうじゃなくて、自分たちがもっとやりたくなるものを作っていかなきゃいけないなとずっと思っていたので、その中にはやっぱり音楽とダンスってのは切り離せなかったんですよね。
 
──なるほど。ワークショップを拝見して思ったんですが、「リバイバルダンス」の動きを参加者の皆さんに説明して促すのが、すごくお上手ですよね。
 
SAM ホントですか? 人に教えるということはずっとしてきてたんですが、「ダレデモダンス」の活動の中で、初めて高齢者の人にダンスを教えるという機会ができたんですね。その時に、最初はどうしていいか全く分からなかったんですよ。おじいちゃんおばあちゃんって、普段は優しくてすごくおとなしい人たちというイメージがあって、そこに向き合わなきゃいけないという時に、自分なりにいろいろ研究して、接し方や教え方を1から構築していって、その中で「ダレデモダンス」のワークショップも何回も重ねていったんですよね。そこでいろいろ勉強して培ったものだと思います。
 
──「リバイバルダンス」に関しては、手応えを感じていますか?
 
SAM ありますね。認知症ってすごく身近というか、誰でもなる可能性があることなんですよね。この先は5人に1人とか、それこそ3人に1人が認知症になるという可能性があって、そうなってくると本人以上に、その周りの人たちもつらいんですよね。介護する側の人たちが。もちろん、なってしまった本人が一番つらいんですけど、なっちゃうと分かんないですから。だから、その介護をしている人たちのために作ったという思いがすごく強いんです。これを広めていく時には、認知症になる可能性があるご本人はもちろんなんですけど、その息子さん娘さんの世代に、しっかりとこれを広めていってもらいたいなと思ってます。
 
──そうやって予防法が広まっていきながら、一方で治療薬だったり治療法が開発されていくといいですよね。そうなると高齢化社会の中でも希望が持てるというか。それでは最後に「LIVE EMPOWER CHILDREN」に戻りますが、イベント開催に向けて、メッセージをいただけますか?
 
保屋松 小児がんと闘っている子どもたちやそのご家族を、音楽の力を通じて勇気づけたり元気づけたりという思いとあわせて、このライブをより多くの方にご視聴頂き、1人でも多くの方々がチャリティー基金にご参加いただくことで、その基金を子どもたちの治療費に充てたりと、色々な形で還元できると思っていますので、是非ともこの機会にご覧いただければと思います。
 
SAM 続けていくことがとにかく大事だと思うので、ゆくゆくは子どもたちもがん検診を手軽に受けられて、小児がんを未然に防げるような状況になっていくのが一番いいと思うんですけど、とにかくゼロを目指すっていうことですよね。そこに向けて頑張っていきます。

 

撮影 木川将史

 

 
日 時:2022年2月15日(火)開場16:00~/ 開演17:00~
料金:無料
配信プラットフォーム:ABEMA、dTV、LINE LIVE、YouTube、Z-aN
公式サイト:https://empower-children.jp/lec/

主催:一般社団法人Empower Children、株式会社朝日新聞社
タイトル協賛:第一生命保険株式会社
特別協賛:住宅情報館株式会社、株式会社HIROTSUバイオサイエンス
協賛: MKタクシー、日本工学院専門学校ミュージックカレッジ、三井住友海上あいおい生命保険株式会社
サンプリング協賛:SOMPOひまわり生命保険株式会社、トッパン・フォームズ株式会社、株式会社山口油屋福太郎
後援:厚生労働省、株式会社ニッポン放送、TOKYO HEADLINE、株式会社毎日新聞社

出演者:lol-エルオーエル-、キング・クリームソーダ、倖田來未、JamFlavor、Da-iCE、超ときめき♡宣伝部、TRF、東京スカパラダイスオーケストラ、BUDDiiS、ハラミちゃん、ピコ太郎、moumoon(50音順)
特別出演:つんく♂
MC︓天野ひろゆき(キャイ~ン)/熊谷実帆(ニッポン放送アナウンサー)

【パワー・オブ・エンパワーメント チャリティーオークション】
https://auctions.yahoo.co.jp/recommend/topics/20220209/0000/

【TRF Official Website】
https://trf.avexnet.or.jp/

【LIVE EMPOWER CHILDREN公式サイト】
https://empower-children.jp/lec/
 
【エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社】
https://avex-healthcare.jp/

【一般社団法人Empower Children】
http://empower-children.jp/

 

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記事情報

高崎計三

ライター

高崎計三

1970年2月20日、福岡県生まれ。ベースボール・マガジン社、まんだらけを経て2002年より有限会社ソリタリオ代表。編集&ライター。仕事も音楽の趣味も雑食。著書に『蹴りたがる女子』『プロレス そのとき、時代が動いた』(ともに実業之日本社)。